墓石事例集.12「軟石墓石90年目のケア」
△月□日 大正5年2月の建立ですから、
ざっと90年の時間をこの地で見つめていらっしゃった事になります・・・。
地球や人類全体の流れからすれば、ほんの一瞬(フラッシュ)な流れであるとしても、やはり、石碑(追碑)に刻まれた文言(もんごん)が明らかになるに従い、 携わる我が身も凛と引き締まります。
東京都内の広いメインストリートを一歩は入れば・・・。
その歩みを進める道は、普通自動車がかろうじて通り抜けることができるほどの隘路(あいろ)が続き、寺院が散在する、 寂とした空間に、私も思わず、「アースダイバー(Earth Diver、中沢新一著者)」気分の足取りになりました。
「遠くの霊園より、近くの寺院墓地を・・・」とは、
今回のご依頼者である石材店さんのPRキャッチフレーズです。
「ふむ、なるほど・・・」と私。
施工前 施工後
- 除塵、清水による洗浄
- コケ、カビ、地衣類等の専用除去剤を全体的にたっぷり塗布
- そのケミカル効果(湿潤、浸透、乳化、分散)を確認後、ブラッシング洗浄
- 地衣類等を除去後、サビ色変質部位に専用除去、還元剤を繰り返し塗布
- 中性の専用洗を塗布後時間を置いて清水洗浄、乾燥
今回の案件は、我がドレストン会在京のお若い担当者にお手伝い願いました。
梅雨の晴れ間の一日は蒸し暑く、もう作業開始より汗だくといった姿に、初夏の陽は容赦なく、彼のメガネも曇りがち。
それでもキビキビとした所作は私にとって眩しいものです。
この案件はいわゆるリニューアル、新設されるのは立派なデザイン洋墓ですが、石材店様も「これならご新設の洋墓に対しても遜色なく先祖様にお帰りいただけます・・・。
きっとお客様もご納得されますよ・・・。」
時を大切にする心、ご依頼の石材店さんにこそ、この地の「アースダイバー」にちがいありません・・・。
合掌
※「アースダイバー」中沢新一著(講談社)
※石材呼称は、御影石、大理石、ライムストーン等の通称に従います。
古いお墓の経年劣化、諦めないで下さい。綺麗に磨きます!
ご先祖様代々のお墓を綺麗にお守りします。