墓石事例集.32 「御影石半世紀の垢落とし」
□月○日 異常気象ぶりを象徴する今年の桜の開花宣言・・・。
日本最初の開花はここ、大東京からのアナウンスでした。
東京都杉並区にある築地本願寺和田堀廟所は、
昭和九年の開所以来、水清く小鳥さえずる自然公園墓地として知られています。
それとて大正十二年の関東大震災での焼失に加え、太平洋戦争末期の昭和二十年五月二十五日の空襲で本堂を含むことごとくの消失という、大きなダメージを負っているのでした。
しかし、それにもかかわらず力強い門信徒さんをはじめご縁あるお心により、昭和二十八年十月には本堂再建。入佛法要を得て今のお姿に。つまりは、"場"の歴史なのでしょう・・・。
この度のご依頼は、その再建間もない廟所に昭和三十年からの久遠を留める御影石の墓石を管理されている、 都内の石材店様からのものでした。長い年月にもかかわらず、清楚感が感じられるその墓石。きっと、日頃の「ケア」に心通(こころかよい)があるに違いありません・・・。
施工前 施工後
- 除塵、必要箇所の養生、清水による洗浄
- 黒ズミ、汚れ、サビ色除去のための201システムにより、施工を繰り返し
(201システムについては、本紙平成13年2月25日号に記載) - ケミカル効果を確認し、清水によりたっぷり洗浄、乾燥させます。
雨を落としそうな空模様に"待った"をかけながら、棹石から拝石までの「ケア」。
今回は、全国石材メンテナンス協会(JSMA)の会員さん(茨城県在住)へのサポートを兼ねて、現場での実習方々、早朝より奮闘していただきました。
幸いにも、午後ご依頼の石材店様とおいでになった墓参のお客様ともども「まあ、きれいになったわね」と、感嘆のお言葉をいただきました。
これには寡黙な会員さんの顔にも笑みがこぼれたのでした。
今頃は、廟内桜並木名所のソメイヨシノが満開に咲き、
春の心を届ける花模様に、心和むひとときを過ごされるのでしょう・・・。合掌
追記
廟所には歌人・九条武子、水谷八重子、古賀政男、服部良一、佐藤栄作などなど、歴史に名を刻む諸氏のお墓もあり、時を偲ぶ参拝者も多いとの由。 個人的に私の愛する樋口一葉女史のお墓の前でご挨拶申し上げつつ、デジカメのシャッターをパチリ
。
「中垣の隣の花の散る見ても つらきは春の嵐也けり 一葉」
※ 石材呼称は、御影石、大理石、ライムストーン等の通称に従います。
古いお墓の経年劣化、諦めないで下さい。綺麗に磨きます!
ご先祖様代々のお墓を綺麗にお守りします。