建築石材の実例集.26 「大理石の変色」
○月○日 平成14年2月という管理記録から、この現象(不具合)は新築後わずか2年余りでここまで進行したことがわかります。
明らかに目地、それもシーリング剤を使用した部位に噴出したいわゆる「シール可塑剤・通称=シリコーンオイル)に起因するものと思われます。
高級マンション内部、風除室の壁一面に施工されたビアンコ カラーラ
の周りから染み出たもの。
外部エントランスの柱、壁周りには御影石、内部エントランス、エレベーター壁周りには白大理石と、高級天然素材の施工に設計者の心意気は感じるのですが・・・。
短期間のこうした現象に対し入居者からは度重なるクレーム、大手ゼネコンのご担当者も全面貼り替えも辞さず、とお考えになっていたようです。
ご依頼をいただき、汚染部位の一カ所を慎重にテスト施工。
その結果をチェックいただいてからの本施工と相成ったのですが、 最初のテストから既に5カ月も経ってからのご決定・ご依頼。
「このような不具合に気づきメンテナンスとなれば、1時間でも早くケア・メンテナンスを・・・」と、レポートに進言しておいたのですが、 当然の帰結として「シール可塑剤」の染み込みは当初より深く、広く行き渡ってしまいました。
ご予算、所属会社内部の手続き等、理由は種々おありでしょうが、日頃から石材ケアに携わり石をこよなく愛する立場としては、 「石が泣いている」と、訴えざるを得ない状況でした。
施工前 施工後
- 除塵し、必要箇所を養生
- 清水でたっぷりと洗浄
- 専用の浸透ケミカル2〜3種類を交互に、しかも時間をかけて何度も塗布します。部位によってはウエスによるシップも併用し、その反応を待ちます。
- 清水で十分に洗浄(今回はスチーム洗浄使用)した後、乾燥させます
- 完了後、シーリングからのシミを少しでも出にくくするため、浸透性保護剤を施工部位、目地部位等を含めて塗布しました。
今回のシミ除去部位は、400ミリ角大理石37枚分の仕儀に。梅雨も終わりの名残なのでしょうか、じっとり汗ばんだ2日間でした。
豆知識:類似事例
壁の目地 「ブリード」
一見すると、端正な目地施工?
やや太目なのか?と思われるこの案件は、人の往来が激しいターミナル隣接ビルの一角。
近寄って眼視するに、これは施工したシール剤からの俗に言う油汚れが漏れ出した状態でした。
まるで、模様のように端正
そのものです。
経年に渡る黄変・変質などの状態を惹起する事のないように注視し、早めの「ケア・メンテナンス」の準備をしたいものです。
※ 石材呼称は、御影石、大理石、ライムストーン等の通称に従います。
建造物の外壁や床などの経年劣化、綺麗に磨きます!
今まで、落ちなかった石材のシミや黒ズミの劣化汚れ・油性スプレーなどの落書きも消します!
石材洗浄はリフォームするより、早く安くお手軽です。
まずは、石材クリーニングの実績 → 施工事例集をご覧下さい。